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「日本の決断―国民が真に求める医療政策とは」

開催日2006-02-18

「日本の決断―国民が真に求める医療政策とは」

日本医療政策機構によるシンポジウムの第四弾。東京大学医療政策人材養成講座との共催のもと、「国民が真に求める医療政策とは何か」という大きな視点で、幅広い課題を討議した。シンポジウムは安倍晋三官房長官による開会の辞で幕を開け、世論調査による論点提起を踏まえて、医療政策の専門家による「ディスカッション」と、与野党の議員による「政党論議」が行われた。

「国民が真に求める医療政策」を最新の世論調査から明らかにし、その実現に向けて、医療政策のステークホルダーを結集する。

各界のリーダーが参画する本シンポジウムは、当機構の年間行事の柱であり、医療政策の方向性を探る上では国内随一の会議である。

まず、安倍 晋三氏が、開会の辞を述べ、自身が12 月に取りまとめた医療制度改革大綱について、その基本的な考え方を示した。

次に、近藤 正晃ジェームスが、当機構が実施した世論調査「国民が真に求める医療政策」の結果を発表した。調査結果から、医療政策の重要な論点が抽出された。

その後、佐々木 毅氏を議長として、市民・患者団体、経済界、財政諮問会議、行政、医療界の代表者が、アンケートから抽出された重要な論点について各々の考え方を提示した。各界のリーダーが参画する本パネルディスカッションには、会場からも多くの質問が寄せられ、ステークホルダー間の意見の共通点・相違点が浮かび上がった。

最後に、飯野 奈津子氏のファシリテーションにより、自民党、公明党、民主党の医療政策担当者が、政党論議を行った。各党の医療政策の特徴を提示し、国民が重視する医療政策の論点についても、各党の考え方を示した。

その年の医療政策の重要課題を考定する会議として、充実した第一回となった。


■スピーカーの発言要旨

安倍 晋三氏: 「 勝ち負けが固定化しない社会を支えるセーフティネット」

私たちが目指している社会は、一生懸命がんばった人が報われるような社会である。その過程では勝つ人も負ける人も出てしまうが、大切なことは、それが勝ち組・負け組として固定化されない社会をつくっていくことではないか。人間は不幸にして病気になる場合もあるが、その時に安心なセーフティネットがあるという社会を構築していきたい。医療保険制度はその重要な基盤の一つである。今年の医療制度改革では、中期的には、治療から予防に重点を移して中期計画を立て、短期的には、診療報酬を下げ、また高齢者医療制度の改革によって保険財政の改善をすすめていくことにした。予防医学も進んでおり、病気になりにくい社会を実現していきたいと考えている。そうした分野に対しては、惜しみなく投資をしていくべきだ。


近藤 正晃ジェームス: 「 国民が真に求める医療政策とは何か」

2006 年1 月に実施した世論調査の結果の概要は以下の通りである。
・ 国民の6 割が現在の医療制度に不満を持っている
・ 不満の主な理由は、医療の内容よりも市民不在の制度決定である
・ 公共事業を減らして政府支出を抑える一方、社会保障費を増やすべきとの国民の意見が多数である
・ 社会保障費を消費税でまかなうこととした場合、国民の7割以上が税率引き上げはやむを得ないと考えている


勝村 久司氏: 「 医療の単価の設定を患者の価値観に合わせるべき」

今の医療の最大の問題は、各医療行為に設定される単価が患者の価値観と合っていないことだ。その原因は、医療行為一つ一つの単価が国民・患者に知らされていないことにある。患者の視点で医療改革を進めるためには、正式名称と単価が全て分かる領収明細書の発行を医療機関に義務付けるべきだ。


竹川 節男氏: 「 高齢者への比重が大きな医療資源配分を現役世代にシフト」

社会保障費の配分に優先順位をつけることが重要だ。国民の安心と経済の成長を目指していくと、まずは、現役世代の医療を確保し、確たる年金で老後の生活を保障し、介護を社会で担い、高齢者医療が備わるという全体像が描き出される。


西室 泰三氏: 「 大きな目標を設定して改革を」

国家財政が全体的に逼迫している中で医療費だけを突出して増やすわけにはいかない。日本経団連ではとくに2010 年度までの施策の実施とそのレビューが非常に大事だと考えている。IT 化の促進などを通じた、情報の透明化や効率化を図るとともに、高齢者であっても自分で負担できることは負担するという発想が必要である。


吉川 洋氏: 「 公的医療給付」には財政的コントロールが必要」

「国民医療費」と「公的医療給付」をはっきりと区別するべきだ。国民医療費を抑えつけるのがいいとは必ずしも思わない。しかし公的医療給付は、国民が負担できる水準に合わせて伸びを抑制することが必要である。一方、公的負担でない部分は国民の選択肢を増やすべきであり、混合診療を導入するべきだ。


辻 哲夫氏: 「 生活習慣病対策が今後の医療政策の柱に」

わが国では生活習慣病の増加が医療費の高騰を招いている。生活習慣病はメタボリック・シンドロームという同根のメカニズムによって起こっており、対策は内臓脂肪を減らすことと、運動である。健康を維持して医療費を適正化することは正しいことであり、国家の大計の一つとして、今後取り組んで行く。


黒川 清: 「 社会背景を理解して、時代に即した制度改革を」

生活習慣が変わり、食生活は改善され、運動量は減った。にもかかわらず一日三度食事して、糖尿病だ、というが、自分の体重を減らせばいいことなど、わかっているはずだ。また、都市化で病院へのアクセスがよくなったにも関わらず、一つの都市に総合病院がいくつもある。それが自分たちの望む医療なのか、国民一人ひとりがよく考えることが大切だ。


鴨下 一郎氏: 「 保険給付の範囲は見直しが必要」

医師の数は不足しており、看護師やコメディカルスタッフも専門性が高くなるので、医療従事者の給与の確保が課題となる。いずれ総医療費ということでは、公的なお金で負担できるのは半分くらいになるのではないか。たとえば、先進医療、美容の側面が強い医療など、どこまで公的保険で給付すべきかは、議論の余地がある。


福島 豊氏: 「 先送りはやめて、給付と負担のバランスを」

今の日本の社会保障制度の財政は、負担と給付のバランスが取れていない。今後給付は更に増えていくが、つけの先送りを避けるために給付拡大に見合った負担をお願いせざるを得ないと思う。また、命に関わる医療での混合診療には反対だ。医療・年金・介護という社会保障制度相互の間の給付調整で、効率化を図ることの方が大切である。


古川 元久氏: 「 市民にも分かる言葉で改革論議を」

これまでの医療政策は、医療関係者による専門的な議論で決められてきたが、国民の視点を重視するためには、市民にも理解できる議論を行うことが重要であり、専門的な話を分かりやすく伝えて行くことも政治の役割だ。

 
 

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