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第5回朝食会「データに基づいた医療政策:韓国・台湾の経験から学ぶ」

開催日2006-07-06 ゲスト井伊 雅子 氏(一橋大学大学院国際・公共政策大学院教授)

第5回朝食会「データに基づいた医療政策:韓国・台湾の経験から学ぶ」

今回は、一橋大学大学院国際・公共政策大学院教授の井伊雅子先生に「データに基づいた医療政策:韓国・台湾の経験から学ぶ」をテーマにご講演いただきました。

(要旨)
台湾や韓国は、日本の皆保険制度を手本にして皆保険を導入しました。今では、日本よりも急速にどんどん医療制度改革を行っています。これらの国は、医療保険制度が似ているため、日本の今後を考える上で参考になります。

韓国では大幅な医療改革を行い、皆保険・約 350 あった保険者の統一・レセプトの電子化100%を達成しました。さらに支払い・審査・評価を行うための組織、健康保険審査評価院(Health Insurance Review Agency (HIRA))が作られました。韓国は10 年余りでレセプト電子化を達成しています。電子化を推進したHIRA の職員は日本でコンピュータの勉強をしており、91 年当時、韓国厚生省の局長からは日本でやっていないものをどうやって実現するのかと言われたそうですが、学んだとおりの手法でレセプトの電子化を手がけました。複雑な点数表をコンピュータ処理に適したように簡素化して、分かりやすいコードを設定し、点数改正も点数あたりの金額変更で簡単に実現できるようにしました。日本では複雑な点数表のままで、しかも改正のつど大幅なコンピュータシステム変更を繰り返しているので電子化が進みません。その職員は日本には医療保険導入時にお世話になったので、電子化では恩返しがしたいとおっしゃっていました。また、韓国では電子化にインセンティブを設けました。従来約一ヶ月かかった診療費の支払い期間を、電子レセプトの場合15 日、紙レセプトの場合40 日としたのです。金利の高い場合はかなりのインセンティブになるようです。内容に問題があれば電子メールで照会も可能であり、業務が透明化されています。日本ではレセプト分析による医療費推計に2 年程かかっていますが、韓国ではほぼリアルタイムで医療保険の収支がわかりますし、審査手数料も日本の約1/6(レセプト一件当たり20 円)で済んでいます。台湾も皆保険と同時に単一保険システムを作りました。あまりにもいろいろな多くの改革をしていて、何が効果的だったのか分からなくなる
くらい改革が行われています。

私は、審議会などに参加するとき、特に問題は何か、何が提案できるかと考えるようにしています。レセプトを電子化し、医療を標準化し、データを医療政策に生かすことです。

韓国ではすでにデータに基づいて医療政策が考えられているのです。医療に限りませんが、日本では大切な政策が声の大きい人で決まっています。そうではなくてデータをもとに議論することが建設的でしょう。そのためにも、議論の元となるデータを蓄積していくことが重要です。日本の白内障のDPC データを分析した結果をみると、在院日数に大きなばらつきがあり、診療が標準化されていないことがわかります。自分たちの病院と他病院との位置関係を知るだけでも標準化が進むと考えられますので、データを取るだけでも価値があるのです。

また、病院と診療所、勤務医と開業医の格差の問題があります。そもそも開業医が地域医療に結びついていないように思えます。開業医になるために地域医療を一年経験するよう義務付けるとか、臨床研修に地域医療を含めるなど考えていくべきでしょう。高血圧症患者が病院もしくは診療所に月2回受診し、同じ治療を受けたとしたときの自己負担額を見比べると、診療所では指導料や処方管理加算などいろいろな請求がつき、結果的に診療所の方が高くなります。高齢者など時間がある患者さんなら混んでいても安い病院に行くでしょう。20 年程前から格差が大きくなり始め、勤務医と開業医の所得差は広がるばかりです。

往々にして「日本は低い国民負担率で皆保険を達成している」などと言われますが、他国との比較は社会保障制度が違うので意味はありません。データの見方は非常に重要です。何を基準にするか(GDP、一人当たり医療費、購買力平価)によっても、日本の位置は大きく変わります。

 

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