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(開催報告)日本医療政策機構(HGPI)-オランダ大使館 共催 日蘭専門家会合 「テクノロジーと高齢化時代における医療倫理」(2017年4月25日)

開催日2017-04-25

(開催報告)日本医療政策機構(HGPI)-オランダ大使館 共催 日蘭専門家会合 「テクノロジーと高齢化時代における医療倫理」(2017年4月25日)

2017年4月25日(火)、在日オランダ大使館にて当機構とオランダ大使館共催の日蘭専門家会合「テクノロジーと高齢化時代における医療倫理」を開催いたしました。




開会にあたり、マーク・ヘリッツセン オランダ王国大使館 経済・商務部 公使より、日蘭の医療交流に関する歴史も踏まえた、今回の会合の趣旨や意義についての説明がありました。これを受けて当機構代表理事の黒川清は、エンドオブライフについてのオランダの動向は全世界の注目を集めており、高齢化する日本において、重要課題であると認識していると述べました。



この後、ロッテルダム・エラスムス・メディカルセンター 教授であるイネズ・デ・ボアフォー氏に講演いただきました。


~講演内容要旨~
テクノロジーと高齢化時代における医療倫理
イネズ・デ・ボアフォー氏からは医療倫理におけるオランダの現状をご講演いただきました。


オランダにおける安楽死の定義は、「患者の要求に応じて医師が患者の命を終わらせること」である。その目的は重症患者を耐え難い苦しみから救うことである。医療技術の進歩により延命治療も進化してきている。しかし、これが患者にとって最善の選択であるのかは十分な議論が必要だと考えている。


オランダでは、安楽死をさせた後、医師は地域の委員会に報告を行う義務がある。この委員会は国内に5つ存在し、委員はマルチステークホルダーによる構成となっている。安楽死の判定基準については、委員会の裁量による。2015年に6,091件の安楽死が行われたが、中には違法とみなされたものが10件あった。これらは、検察官による検証がなされたが、医師の起訴は殆ど行われていないし、逮捕された例はない。


オランダは民間会社による運用を中心とした国民皆保険制度を達成している。この制度に加えて、プライマリ・ケア医が充実しており、国民の診療へのアクセスが整理されている。安楽死は、この良い保険医療制度の基盤があるからこそ成り立つものであると考える。


しかしながら、安楽死に関しては課題も多い。安楽死の実施に際しては医師の判断が求められており負担を感じている医師も多い。近年、末期がんの認知症患者など、個人の意思を伝えることができない複雑なケースもある。医師は、終末期の治療に入った患者に安楽死も選択肢とした方針を説明し、患者の意向を確認するが、最後に判断するのは医師である。終末期の診療所はこの論点を踏まえて安楽死を患者とともに話し合い、治療の経過を観察して安楽死の実行に至る。この診療所は数年前から始まったが、患者の評判は良い。


オランダの国土は九州と同程度の面積で人口は約1700万人と少ない。また、プライマリ・ケア医制度により、医師と患者の信頼関係も良好である。オランダは倫理的にも寛容であり、価値観の多様性を受け入れ、個々人の思想・表現の自由を重んじる傾向にある。このような成熟した市民社会の存在が、安楽死を合法化できた最大の要因であろう。近年、オランダでは医師以外のものが自殺幇助をできる新しい法律を策定しようとする動きも出ている。この問題に関しては、国民を巻き込んで十分な議論されなければいけないと考えている。

 
 

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