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(講演)認知症フレンドリージャパン・サミット(DFJS)2017での講演(認知症フレンドリージャパン、2017年9月15日)

日時2017-09-15

(講演)認知症フレンドリージャパン・サミット(DFJS)2017での講演(認知症フレンドリージャパン、2017年9月15日)

認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ(DFJI)が主催した第4回認知症フレンドリージャパンサミット2017(DFJ Summit2017)のプレイベントにおいて、当機構アソシエイトの栗田駿一郎が「スコットランドの今、認知症施策」と題した講演を実施しました。

*DFJIは当機構が実施した「認知症研究における国際的な産官学の連携体制(PPP)のモデル構築と活用のための調査研究」での専門委員会の委員でもある徳田雄人氏らが主宰するネットワークです。


【プレイベント(シンポジウム&ネットワークセッション)】

日時:9月15日(金)19:00 - 21:30(開場 18:30)
場所: シバウラハウス(田町)

プレイベント・ゲストスピーカー:
 ブリティッシュ・カウンシル:湯浅真奈美氏
 「認知症フレンドリーコミュニティとアート~英国の事例から~」
 日本医療政策機構:栗田駿一郎氏
 「スコットランドの今、認知症施策」
 認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ:徳田雄人氏 
 「認知症フレンドリーコミュニティ~そのグローバルな動き~」

*詳細はこちらに掲載されています。

■講演要旨

日本医療政策機構では昨年度、日本医療研究開発機構(AMED)の助成により、「認知症研究における国際的な産官学の連携体制(PPP)のモデル構築と活用のための調査研究」を実施した。

研究の過程では、私もメンバーの1人として国内外の数多くのステークホルダーへのインタビューを行った。その中で、一般的とされる「早期診断・早期対応」が必ずしも良い状況を生んでいないことに気づかされた。「どうにか「早期診断・早期対応」が希望につながる社会にならないか」、そんな想いから、診断後に自らの病気と向き合うことを手助けする診断後支援(PDS:Post Diagnosis Support)としてのリンクワーカー制度に関心を持った。

スコットランドはイングランドなどと同様に、NHS(National Health Service)によって医療サービスが提供されており、国民は原則自己負担がなしで医療サービスを受けることができる。

また日本の医療制度との違いとして、GP(General Practitioner)がプライマリケアを担っており、国民は必ず最初に、居住地に基づき登録したGPの診察を受けなくてはならないというルールがある。日本のように初診料などの制限はあるものの、自分の希望する病院で診察を受けることができる「フリーアクセス」は保障されていない。

そして、スコットランドの認知症施策の基盤となるのが「認知症国家戦略」である。認知症の人は約9万人いるとされ、2020年にはさらに約2万人増えると予想されている。過去には2010年に第1次、2013年に第2次が発表され、2017年6月に第3次認知症国家戦略が発表された。今回は全部で21のコミットメントが示され、そのうちリンクワーカー制度に関わるものは「支援期間の延長」「プライマリケア領域への導入」の2点である。

リンクワーカー制度は現在、NHSによって医療サービスとして提供されている。制度がスタートした2011年時点では、国の公式な制度ではなく、認知症支援のチャリティー団体である「Alzheimer Scotland」の独自サービスであった。

彼らはNHSによる医療サービスとして必要なすべての国民がリンクワーカー制度を利用できるよう、政府と交渉を続けた。2014年にはNHSによってリンクワーカー制度の提供が始まった。

しかし、全国で利用できるようにするにはサービスの提供体制を整えなくてならない。リンクワーカー、地域のResource Centreに拠点を置き、そこから利用者のお宅へ訪問することを基本とする。そのためResource Centreが全国に必要となったが、Resource Centre自体はAlzheimer Scotlandが開設する地域の支援拠点であるため、主に人口密集地にのみ存在する。

そこでResource Centreが開設されていない地域にはNHSが直接リンクワーカー制度を提供することとなり、同一制度の中にAlzheimer Scotlandへの委託による提供と、NHSからの直接提供の2つの方式が併存することとなった。そのため質に差が生じているというのが課題であり、スコットランド政府とNHS、そしてAlzheimer Scotlandはその標準化に向けて、教育プログラムなどを構築している。

リンクワーカー制度は、認知症の人や家族が病気と向き合い、診断後の生活を設計するために必要不可欠な制度である。また制度の根底には、かねてから続けてきた、世代を超えた認知症への理解を深めるための啓発活動が生きていると考えられる。一方で、この制度はようやく開始6年目を迎えた段階であり、質のコントロールや、利用者・利用期間の拡大に伴う財政への影響など、課題も多い。

私たち日本は高齢最先進国であり、世界中が日本の政策に注目している。一方で諸外国から私たちが学ぶことは多い。認知症という正解共通の課題解決に向け、引き続き各国と連携し、知恵と経験を共有することが求められる。


なお、本講演は7月25日~27日にかけて、政策研究大学院大学グローバルヘルスイノベーションポリシープログラム(GHIPP)の支援を受け、スコットランドのリンクワーカー制度について視察した結果をまとめた報告書に基づくものです。


 
 

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