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(開催報告)リデザイニング・トーキョー:都市デザインとコミュニティーの健康 グローバル多分野協働イブニング カンファレンス(2017年8月1日)

開催日2017-08-01

(開催報告)リデザイニング・トーキョー:都市デザインとコミュニティーの健康 グローバル多分野協働イブニング カンファレンス(2017年8月1日)

英国のシンクタンクであるCentre for Urban Design and Mental Health(UD/MH: アーバンデザイン・アンド・メンタルヘルス・センター)と日本医療政策機構(HGPI)は、「リデザイニング・トーキョー:都市デザインとコミュニティーの健康」と題して、イブニング・カンファレンスを開催いたしました。「コミュニティーヘルスや都市計画に関する最新の世界的潮流やイノベーション」、「東京におけるコミュニティーヘルスのための最新デザインや事例の紹介」等をテーマとし、多分野の専門家が結集し分野横断的に議論を深めました。

 

会場は、国際的な建築物の環境性能評価制度レベル「LEED」の最高評価「プラチナ」の認証を取得した日本コカ・コーラ株式会社本社を提供いただきました。

 

■登壇者

金 吉晴 氏 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 災害時こころの情報支援センター長

桜井 なおみ 氏 キャンサー・ソリューションズ株式会社 代表取締役社長

酒向 正春 氏 医療法人社団健育会 ねりま健育会病院院長

妻鹿 ふみ子 氏 東海大学健康科学部社会福祉学科教授

横山 太郎 氏 横浜市立市民病院 緩和ケア内科

下河原 忠道 氏 株式会社シルバーウッド代表取締役

河野 禎之 氏 臨床心理士 筑波大学ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター ダイバーシティ部門助教

菱田 佳奈 氏 東急不動産株式会社 ヘルスケア事業本部

入江 茂樹 氏 光井純&アソシエーツ建築設計事務所

 

■概要

今回のカンファレンスでは、建築家(都市計画の設計に関わる)、医療関係者、政策立案者、アカデミアなどの専門家が集まりました。東京における都市デザインが健康やウェルビーイングに与える影響について、8人の専門家による5分間のプレゼンテーションとバーチャルリアリティ空間の体験会ならびに日本コカ・コーラ社屋の見学会を行いました。

 

まず冒頭で、UD/MHディレクターのレイラ・マッケイ氏より、本会の趣旨並びに東京におけるメンタルヘルスの向上を意識した都市計画についての紹介と調査結果が紹介されました。

 

■多分野の専門家によるプレゼンテーション  

■金 吉晴 氏

精神医学は都市計画と深く関わっている。これは精神病棟の隔離政策などの歴史からも読み取れる。精神疾患の患者は、隔離され、巨大な収容施設に入院させる傾向にあったが、コミュニティーに根差した小規模な施設でケアを実施する方向に、世界的な潮流が変わりつつある。ではその際に、包摂的な「心地よいコミュニティー(都市)」をいかに作っていくか。精神医学領域においてもコミュニティーの在り方は重要であり、継続的な研究テーマとしていきたい。

 

■桜井 なおみ 氏

街づくりで健康増進ができ、環境改善もできるということがイギリスで実証されている。イギリスでは、都市の環境を改善することにより、人々は元気になり、経済も豊かになり、結果として都市がさらに活性化した。これに感銘し、東大と連携した豊四季台計画などにおいて、日本でできることを考え実践してきた。また、がん患者の支援においても都市計画の要素は必要であると考え、自身が委員として取り組んできた「第3期がん対策基本計画」には都市基盤整備を案の中に取り入れた。高齢者を含めた全世代を巻き込んだ「健康的な街づくり」を日本でも実現したいと思っている。

 

■酒向 正春 氏

超高齢社会における医療介護連携を基盤とした街づくりを行っている。「健康医療福祉都市構想・ヘルシーロード」である。優れたデザインは人生を変える力があると思っている。在宅で療養する慢性期の疾患を抱えた高齢者やハンディキャップを持つ方の社会参加を支援できるのはコミュニティ(街)であると思っている。都市計画は機能面を追求するだけではなく、おしゃれで楽しく過ごせ、健康増進ができる空間を意識するべきだと思う。

 

■妻鹿 ふみ子 氏

コミュニティーを持続可能にするための居場所について研究している。居心地の良い居場所を作るためのポイントは4つあると思っている。1つ目はデザイン性の高い空間と場であること。2つ目は最初から「場」がありきではなく、住民との検討を重ねて「あったらいいな」をかなえる「場」を作っていくこと。3つ目はお客様をつくらないこと。役割を固定せずにできることをどんどんしてもらう環境づくりが必要。最後に居場所を作るのは地域に古くからいる住民でない方がいいということが分かった。常にオープンな環境づくりを心掛け、誰でも参加しやすい居場所を作ることがコミュニティーを持続可能にすると考えている。

 

■横山 太郎氏

超高齢社会において医療者だけで意思決定をしていくのは難しいと思っている。医師として患者さんを治療するだけではなく患者さんの人生を良くしていく社会活動をしたいと思い中高生を対象とした「インディゴクリエ」という団体を立ち上げた。これは、医療現場から課題を抽出し、彼らができることを話し合い、社会活動を一緒にする場。また、公民館をみんなの集える場所にしようという活動もしている。その結果として、「個人の社会的責任(PSR: Personal Social Responsibility)」を考えるようになった。PSRの中で一番大事なものは当事者意識であり、シルバーウッドの下河原さんが作っているバーチャルリアルティは認知症の人の社会の見え方を体験することができ、認知症が問題ではなく、認知症の人が暮らしにくい社会が問題であることに気が付くことができる。こういった活動を通して、認知症の当事者も社会的な役割を持つことが重要だと認識している。

 

■河野 禎之 氏

臨床心理学者として認知症の調査を行った結果、都市での認知症の当事者の生活は制限されることが多いことが分かった。例えば、外出時には、駅での券売機の操作が困難であったり、バス停を探すのが難しいという事例も報告されいる。これにより、認知症の当事者が社会参加しやすいような環境を整える必要性が示唆された。また、初期の認知症の当事者は少しのサポートがあれば普通に生活が行える。町田市では、当事者の声を中心に住民参加型のワークショップを行い、認知症政策のビジョンを策定した。こういった課題解決に向けた活動をするために認知症フレンドリージャパン・イニシアチブというセクター(企業・自治体・NPOなど)を超えたプラットホームを展開し、「認知症にやさしい社会」を目指している。

 

■菱田 佳奈 氏

東急不動産が取り組んでいる「世田谷中町プロジェクト」ではシニア住宅のデザインにおいて英国スターリング大学認知症サービス開発センターと提携し、彼らが提唱する「7つの原則」を取り入れた認知症にやさしいデザインを考えた。例えば、床の色のトーンを統一することで、転倒を防ぎ、お手洗いは一目見てわかるようなデザインにすることで記憶に頼ることなく認識できるようになった。このような工夫をしたデザインは認知症の当事者だけでなく、ケアスタッフや家族にも評判がいい。

 

■入江 茂樹 氏

2016年7月に完成したコカ・コーラ本社の新社屋の設計を担当した。環境性能評価制度レベル「LEED」の最高評価「プラチナ」の認証を取得するために、新しい社屋は、自然とスタッフ間のコミュニケーションに焦点をあて、職場のメンタルヘルスの向上を目指した機能とデザインを考えた。

 

多分野の専門家のプレゼンテーションの後、レイラ・マッケイ氏が中心となって執筆した「Journal of Urban Design and Mental Health Edition 3」の紹介と説明があり、講演終了後は質疑応答が活発になされました。

 


主催:Centre for Urban Design and Mental Health(UD/MH: 英国) / 特定非営利活動法人 日本医療政策機構(HGPI)

 

後援:駐日英国大使館 / 日本コカ・コーラ株式会社 / 政策研究大学院大学 / 特定非営利活動法人 健康都市推進会議

 
 

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