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(開催報告・政策提言)第2回AMRグローバル専門家会合「AMR アクションプラン策定から一年 ~国内外におけるAMR 政策の進展と、新たな課題~」~AMR政策の進展に向けた7つの提言~

日時2017-11-14

(開催報告・政策提言)第2回AMRグローバル専門家会合「AMR アクションプラン策定から一年  ~国内外におけるAMR 政策の進展と、新たな課題~」~AMR政策の進展に向けた7つの提言~

2017年7月21日(金)、当機構は、第2回AMRグローバル専門家会合「AMRアクションプラン策定から一年 ~国内外におけるAMR政策の進展と、新たな課題~ 」を開催しました。

既存の抗菌薬が効かない細菌が世界規模で増加し、この薬剤耐性(AMR)に関する様々な課題を解決するために、各国や国際機関、企業などにおいて、対策や連携、新たな研究開発が求められています。日本政府の「薬剤耐性(AMR)アクションプラン」策定から1年が経過した第2回会合では、問題解決に向けたより具体的な政策論点を整理し、グローバルかつマルチステークホルダーによる議論を通して、日本国内外で引き続き推進すべきAMR対策に関する政策議論の場となりました。


G7の歴史を振り返りながら、国際社会におけるAMRの脅威や日本が果たすべき役割、AMR対策の昨今の国際的な政策推進について、論点が提示され、日米による連携の重要性が強調されました。4月に策定されたAMR対策における日本のアクションプランの詳細が明らかにされ、G7議長国としての日本の今後のイニシアティブについて言及がありました。

AMR 政策の進展に向けた7つの提言(専門家会合まとめ)

1. 適正診断を進めるべく、迅速検査の重要性を再認識すべき
-AMR対策の要として適正・迅速な検査・報告の重要性を再認識し、活用可能な承認済みの検査機器などの導入を一層推進すべき。
政府当局として、迅速機器の導入補助、または診療報酬での評価など、AMR対策における微生物検査の推進施策を検討すべき。
感染対策(院内感染、市中持ち込み感染)に対して、政府は具体的な実施施策を検討し、実施施設の評価を行うべき。
AMR対策に有効な未承認機器・試薬の承認迅速化などの対応を検討すべき。

2. R&Dに関わるインセンティブを構造的に設計すべき
AMR対策に関わるR&Dへの投資を行うにあたって、経済的なインセンティブ確保や投資リスクや収益性の確保などに関する予測可能性の点で困難があることを認識すべき。
その上で、資金援助などに加え、企業が自ら開発に投資し、市販後の適正使用を推進しやすい環境を整備するための根本的なプル型のインセンティブ設計の改革を行うべき。

3. 検査データの分野横断的かつ国際的な統合を促進すべき
検査において収集されたデータの分野横断的・国際的な統合を促進すべき。
これらのデータおよびその分析を踏まえ、感染症一般に対する診断方法も含めた診断プロトコールの頒布を行うなど、適正診断のための意識喚起を行うべき。

4. 産官学連携の具体的進展を図るべき
サーベイランス・R&D・適正検査や診断の促進など、AMR対策の柱となる分野において、産官学連携を促進すべき。
産官学連携にあたっては、アジェンダ設定にとどまらず、標準化データの共有や規制調和化など具体的に踏み込んだ産官学連携メカニズムの構築を行うべき。
相互理解や信頼醸成を含めた対話を基礎とすべき。

5. 過剰抑制に留意しつつ、アクションプランのさらなる実施を進めるべき
セクター・分野横断的にアクションプランのさらなる実施を進めるべき。その際、成果目標の達成を追求しつつ、抗菌薬使用の過剰抑制にならないよう留意すべき。

6. 国際的なリーダーシップを引き続き日本が担うべき
日本・米国・欧州間における産官学連携を促進するとともに、AMR課題が顕著なアジアにおいて日本の国際的なリーダーシップを示すべき。

7. 啓発活動を一層推進すべき
患者自身が問題を理解し抗菌薬の過剰投与を希望しないよう、メディア・市民への啓発活動を一層推進すべき。


■概要
開会の辞 
黒川 清(日本医療政策機構 代表理事)*ビデオ出演

日本政府の「薬剤耐性(AMR)アクションプラン」策定から1年が経過し、日本国内での具体的取り組みについて、関係省庁や民間企業等が連携し政策課題を明らかにする重要性が強調されました。また、国際社会におけるAMRの脅威や国連総会、G20等におけるAMRをテーマとした議論の動きを踏まえ、議論を深めるべきアジェンダや政策課題について言及がありました。



基調講演1
 三宅 邦明(厚生労働省 健康局 結核感染症課長)

基調講演1では、国内外で開催されたAMRをテーマとした会合での議論を踏まえ、今後の薬剤耐性(AMR)アクションプランの具体的方向性について講演が行われました。その中で、日本が国際社会に対してAMR対策の主導的役割を発揮すべく、薬剤耐性(AMR)アクションプランに掲げられた6つの分野に関する目標の今後の方針について、統合的なサーベイランス・システムの構築の必要性や耐性菌感染症に対する医薬品開発の支援の重要性等についてご講演頂きました。



基調講演2 
舘田 一博(日本感染症学会 理事長 東邦大学 微生物・感染症学講座 教授)

基調講演2では、AMR時代に求められる感染症診療の方向性について講演が行われました。薬剤耐性(AMR)アクションプランの具体的数値目標について、数値目標がゴールではなく、抗菌薬適正使用がゴールであること、抗菌薬適正使用推進にはプライマリケア医を対象とした教育・啓発重要であること等について講演頂きました。



セッション1   「G7伊勢志摩サミットを振り返る ~サミットの成果と各国におけるAMR対策の進展と課題~」

セッション1では、 G7 伊勢志摩サミットから約1年、この間にグローバルかつ各地域での取り組みがどう変わったのかについて議論が行われました。一筋縄ではいかない抗菌薬の研究開発政策について、どのような官民連携による新たなフレームワークが必要なのか議論を深めました。


抗菌薬のR&Dや適正使用についても議論が重ねられ、新たな抗菌薬の研究開発に必要なインセンティブのあり方について、それぞれの立場から言及があり、さらに、臨床現場におけるAMR対策として抗菌薬の適性使用について保険償還の仕組みの再構築含めどのように推進していく必要があるのかグローバルな視点でそれぞれの立場からの考えが提示されました。またAMR対策で取られるべき国際連携の枠組みについても、会場から多くの質問やコメントがあり、活発な議論が交わされました。

パネリスト
Gary M. Cohen(ベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー エグゼクティブ バイスプレジデント)
Jayasree K. Iyer(Access to Medicine財団 エグゼクティブディレクター)
Paul Schaper(Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. グローバル公共政策エグゼクティブ・ディレクター)
山本 尚子(厚生労働省総括審議官(国際保健担当))

モデレーター
山崎 繭加 (東京大学医学系研究科 国際保健政策学教室 特任助教)

セッション2   「日本におけるAMRアクションプラン策定から約1年~引き続き推進すべきAMR対策の政策課題・新たな課題~」

セッション2では、日本のAMR アクションプラン策定から約1年を振り返り、引き続き推進すべきAMR対策の政策課題や新たな課題、抗菌薬開発促進のために必要なインセンティブ、そこで重要となる産官学による連携をどのように推進する必要があるのかについて議論が行われました。

 


抗菌薬使用判断に必要な新しく迅速な検査体制のあり方、日本における新しい創薬メカニズム、アクティブサーベイランスの活用など、幅広い課題提起が行われました。産官学のステークホルダーによる立場をこえた議論が行われ、官民連携のプラットフォームの重要性や薬剤耐性に関する検査手法・技術の質の評価の必要性について会場からも多くの発言や質問があがりました。

パネリスト
大曲 貴夫(国立国際医療研究センター センター病院副院長 総合感染症科科長  国際感染症センターセンター長 国際診療部部長) 
澤田 拓子(塩野義製薬株式会社 取締役 上席執行役員 経営戦略本部長) 
森 和彦(厚生労働省 大臣官房審議官(医薬担当)) 
栁原 克紀(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 病態解析・診断学分野(臨床検査医学)教授)

モデレーター
乗竹 亮治 (日本医療政策機構 事務局長) 

閉会の辞 
武見 敬三(参議院議員)

長年AMR問題をはじめとするグローバルヘルス領域の政策課題に取り組んできたことを踏まえ、AMRという複雑かつ喫緊の脅威に対して、内閣官房(国際感染症対策室、健康医療戦略室)、厚労省、外務省等が、民間セクターやアカデミックセクターと連携することで、AMR特有の新規抗生物質の創薬開発・製造等に係る課題解決を図る重要性について言及されました。



(順不同・敬称略)
(写真: 井澤 一憲)

 
 

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